2、リディアン・クロマチック・コンセプト(以下LCC)

ピアニスト、ジョージ・ラッセル氏によって書かれた本書。
前項に書いた安定←→不安定の聴こえ方について詳しく書かれている。

まず、誤解の多いこの理論書。リディアンと名前が付いているせいか、トニック時のスケール選択等でリディアンスケールが正解と誤解されている方も多いが、リディアンスケールの使い方などの理論ではない。
・C音からB音までの12音、すなわちクロマチックスケールに、「安定」「不安定」の順列、序列を付けたもの『リディアンクロマチックスケール』と定義する
・つまり、『リディアンクロマチックスケール』には全てのスケールが内包されており、その中で自由にスケールを作ったり、使用音を12音の中からもっと自由な発想で選びましょうといったものである。
・音の選択はトーナルセンター(調性の中心)からの距離によって発生する、トーナルグラビティ(調性引力)が表す安定、不安定さを利用して音楽の流れを表現したり、コードとスケールの親和性(ペアレントスケール)や不安定さ(アウトゴーイング)などを定義する理論書です。

さて、この本に出て来る『リディアンクロマチックスケール』の具体的な順番とは?
Key=Cの時
安定                不安定
C<G<A<E<B<F#<Ab<Eb<Bb<F<Dd
と定義されています。

このスケールを前項のコードファンクションに例をあげて当てはめてみると

Funktion    T    SD    D    SDm      D(alt)
コード       C△  F△ Dm  G7     Ab Fm         G7(alt)
コードトーン CEG    FACD        GBDF   FAbBbEb   GBF
テンション                                                                    AbBbDbEb

このように不安定な音が多いほうが、よりトニックへの重力が大きく、ドミナント効果が大きい事がわかる。
またこの事を応用して考えれば、ノンダイアニックコード(key=C時 D7 Eb△ Gb△等)やトニックディミニッシュ(コードトーンCEbGbA)等のトニックからの距離も測ることが可能で、より豊かな発想で作曲が可能である。

このように、LCCはインゴーイングやアウトゴーイングをトニックからの距離で感じることが出来る為に、トニック感覚でソロを取る場合の親和性が高い。

LCCにはスケールの自由な使い方、考え方、コードによっての親和性、水平方向へのメロディライン等、参考譜付きで解説があるので、 詳しくは買って読んで下さいませ。

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